この記事では、国際機関での上司の取り扱い方について、某機関での勤務や他国際機関の方のお話を通じて学んだことをまとめています。
国際機関では、HRではなく直属の上司が大きな人事権を持つ
そのため、昇進やポスト獲得を実現するためには、実績を上げるのはもちろんのこと、いかに上司に評価してもらうか、ということが重要となる。
国際機関の人事はかなり人間関係を軸について成り立っており、もしかすると、日本の企業よりも上司を慮り、上司との関係性を良好に保つことが強く求められている・・・かもしれない。国際機関にフラットなイメージを抱きがちな人は多いと思うが、内情はそうでもなかったりする。
でも、国際機関で求められる上司を慮る行動というのは、一昔前のように、行きたくもない飲み会に行ったり、上司の顔色を伺ってペコペコしたり、かばん持ちとしてついて回ったり、といった業務外での余計なムーブというわけではない。
あくまでも「仕事上」で、上司とうまくやることが求められているし、上司とうまくやることが、自分の評価にダイレクトに繋がるということである。
とはいえ、「うまくやる」ためにはどうすればいいのか?
それを考える上で、参考になるのがこちらの本である。
上司をうまく使って自分の評価を上げよう
この本では、様々な上司タイプに合わせて、自分がどのようなコミュニケーションや立ち回りをすると評価されるのかのヒントが記載してある。短い本なのでサクッと短時間で読了できる。
この本で提案されている内容を自分なりにざっくりとまとめると、「上司の立場で考え、上司の好む方法でコミュニケーションを行い、上司の好む頻度で進捗状況を共有しよう」ということかと思う。上司にとって有能な部下になり、使いやすい存在になれば、おのずと評価もされやすい、というわけである。
国際機関では、仕事のスタイルや得手不得手の分野が、本当に人によってまちまちである。
ある人はマイクロマネジメントが好きだったり、ある人は時間の管理が全然できなかったり、メールではなく電話で話したがったり、WhatsAppで細かに情報共有してきたり、もくもくとした分析作業が好きだったり、議論が好きだったり・・・正直、日々すり合わせの連続だ。
そんな中で、自分と同じ問題意識を持って仕事に臨んでくれたり、はたまた自分が苦手または時間がなくて対応できないようなトラブルを解決してくれたり、さっとサポートに入ってくれるような人がいれば、どう思うだろうか。その人は自分の味方、はたまた唯一の理解者であるかのように映り、誰であっても、(たとえそれが上司でも部下でも)かけがえのない貴重な存在になるだろう。
この「誰かにとってかけがえのない存在に映る」ということが、国際機関で生き残っていくためのコツであるように思う。
そうなるためには、上司を観察し、上司のワーキングスタイルを理解し、上司の求めていそうなことを自らプロアクティブに提案することで、上司をいつでもアシストできる存在として自分をアピールすることが求められる。
上司を満足させるメリット
しかし、実は私も以前まで、「部下を管理してサポートするのはマネージャーの役目でしょ?なんで部下が気を使わなきゃいけないの?」「高い給与貰ってるんだから、上司が余計に働いて当然なのでは」なんて心のどこかで思っていて、上司にとって使いやすい人間として立ち回ることに、やや消極的な意見を持っていた。
しかし、実際問題、上司の目線で物事を考えることは、2つの理由で結果的に自分の昇進やポジション獲得に有利に働くことになる。
将来いいボスになる訓練が若いうちからできる
ひとつ目は、上司に頼られれば、自分の所掌範囲も広がり、将来のボスになるための準備ができるということ。
マネージャーは、その職に就いたからマネジメントができるようになるわけではない。
マネジメントができる人が、マネージャーになるのだ。
P4やそれ以上のランクになったとき、初日からバリューを発揮できる人間になりたければ、ジュニアポジションのうちからその素質を磨いておく必要がある。
もしマネージャーの素質がないままに、幸か不幸か昇進してしまった場合、部下からマネジメントに対する不平不満・陰口を言われる、不幸なマネージャーになりかねない。そしてその悪い評判は、残念ながらどこにいってもついて回る。
1つ上、2つ上のポジションの働き方を意識して、上司の立場に立って行動するのが、長期的に考えれば自分のために繋がる。
組織内外から評判が立つ
ふたつ目は、組織の中でうまく立ち回れる・働きやすい人間であることは、ひとつの能力であり、自分の評価にダイレクトにつながるということ。
この世界はものすごく狭い。
新しいポジションに応募したとき、それが同機関であれ別の機関であれ、「あの人って評判どう?」なんていう問い合わせが、インフォーマルに行われている。これは自分が知らないだけで、150%行われている。
考えてみてほしい。どんなにレジュメ上はピカピカとしていて、面接の受け答えが優秀であっても、上司ともめた人や、コミュニケーションが取れない人、前の組織で評判の悪い人を、あえて自分のチームに入れたいと思うだろうか?
自分の評判をコントロールすることは、思っているより需要なのだ。
まとめ:今すぐ自分の上司の観察をはじめよう
上司とどんなに嫌なやつで、大嫌いで、自分と馬が合わなかったとしても、自分を磨く訓練として、まずは上司を一人の人間として客観的に見つめて、上司が抱えているものや、必要としているサポートについて思いを馳せてみよう。
(ただしパワハラ・セクハラ上司の場合は、当たり前だが自分を犠牲にして上司をおもねる必要は全くない。然るべきところに訴えかけて飛ばそう。)
もしすでに上司との関係があまりよくないのであれば、まずは上司に今抱えていること、感じている問題点を聞いてみて、自分がどう立ち回れば上司が楽になるかを聞いてみるのもいいだろう。その上で自分の意見を伝えて、歩み寄ることができれば万々歳である。
上記の歩み寄り作業は、一見すると自分が折れてすり寄っているようで、あまり気持ちいいものではないかもしれない。しかし、これは上司のために行っているのではなく、あくまで組織のため・自分のために行っているので、自分にとって損なことは何一つない。上司がハッピーになれば、自分もハッピーになるのである。
人間関係が超重要なこの組織において、上手な自己主張ができるように、私もコミュニケーションスキルを磨いていきたいと思う。
筆者も全然できていないのでがんばります
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