国連ボランティア(UNV)の給与・手当・国別概算まとめ(2022年6月更新)

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国連ボランティア(UNV)として途上国経験や専門性を身に着けることは、国連職員になるためのエントリーポイントです。

しかし気になるのはUNVの待遇ではないでしょうか。UNVは職員ではないので、スタッフメンバーと比べると、随分と待遇が悪いです。でも実は!任地によってはそこまで悪くない暮らしができるのです。UNVが一体どれくらいの給与・手当を貰えるのか、概算をまとめてみました。

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毎月もらえる金額

Monthly Living Allowance:約2,000~2,900ドル

UNVの手当はMonthly Living Allowance(MLA)と呼ばれており、Volunteer Living Allowance (VLA)とPost-Adjustment Multiplier(PAM)の合計によって算出されます。

MLA= VLA +PAM

VLAはベース給与で、1,682ドルで固定値です。

PAMは治安・物価・生活状況(ハードシップ)などに応じて国ごとに変動し、VLAの0~50%の額が支給されます。

PAMが手当の額を決めるということですね!

国連のハードシップの基準は、UN Duty Station Classificationによって、A/B/C/D/Eの5段階に分けられています。Aが最も暮らしやすく、Eが最も生活が厳しい事務所です。

一般的に、Eレベルの事務所が多い国はPAM調整がなされ、手当の額は多くなる傾向にあります。ただし、首都がA/Bなど住みやすいカテゴリーに分類されている国では、地方でEレベルにカテゴライズされている事務所でも、 Living Allowanceの額は首都と同じです(例:ケニアのナイロビ(B)・カクマ(E)など)。

各国のPAMの水準はICSCのサイト上で確認できます。毎月数値は更新されていますが、急激な物価変動などがない限り、基本的には同金額が保たれています。

たとえば、ICSC上でケニアを検索してみます。

ケニアの場合はMultiplierが43.4%と出ているので、これをVLAにかけた額がPAMとなります。そのため、MLAの総計は下記となります。

MLA=VLA ($1,682)+PAM($1,682*43.4%) =$2,412
 

下記にMLAの支給額例をまとめてみました。これを見ると、必ずしもハードシップとPAMが連動していないことがわかりますね。

ソマリアやシリアの額がそこまで高い水準でないのは衝撃です。コンパウンドから出ないので、あまりお金がかからないのでしょうか・・・

MLAの支給額例 (2021年9月時点)
  • ウガンダ・カンパラ(B)     = $2,141
  • シリア・ダマスカス(E)     = $2,166
  • ネパール・カトマンドゥ(B)   = $2,182
  • スリランカ・コロンボ(B)    = $2,230
  • ジンバブエ・ハラレ(C)     = $2,252
  • エジプト・カイロ(A)      = $2,272
  • ルワンダ・キガリ(A)      = $2,282
  • マダガスカル・アンタナナリボ(B)= $2,321
  • エチオピア・アディスアベバ(B) =  $2,364
  • ソマリア・モガディシュ(E)   = $2,388
  • アフガニスタン・カブール(E)  = $2,403
  • マラウィ・リロングウェ(B)   = $2,405
  • ケニア・ナイロビ(B)      = $2,412
  • ケニア・カクマ(E)       = $2,412
  • ブルンジ・ブジュンブラ(C)   = $2,411
  • タンザニア・キゴマ(D)     = $2,442
  • コートジボワール・アビジャン(B)= $2,456
  • ナイジェリア・アブジャ(C)   = $2,448
  • タイ・バンコク(A)       = $2,476
  • DRC・キンシャサ(C)        = $2,591
  • 南スーダン・ジュバ(E)        = $2,694
  • 中央アフリカ・バンギ(D)    = $2,793
  • スーダン・ハルツーム(C)    = $2,926

Well-Being Differential:0 or 1,000ドル

国連職員には、特にハードシップの高い事務所で勤務する職員に対して、Danger Payという危険地手当が毎月$1,600支払われます(一律)。有給休暇・5日以上のハードシップ休暇、7日以上の出張で国外を出た時には支払われません。

UNVは危険地でこれを受け取れない代わりに、Well-Being Differential が毎月$1,000、一律で受け取れます。

Am I entitled to Danger Pay?

Answer: Danger Pay is not a UN Volunteer entitlement. It is a special allowance established for internationally and locally recruited staff required to work in locations where hazardous conditions prevail, as established by the International Civil Service Commission. 

UN Volunteers receive Well-Being Differential. UN Volunteers are not UN staff members; they are not subject to the UN Staff Regulations and Staff Rules or the pay, benefits and other conditions in those staff rules and regulations. They have the status of UN Personnel, and their assignments are governed by the applicable Conditions of Service and the terms of the Contract issued in each case.

参照元:UNV Webページ

Danger Payの対象となる事務所はD/E事務所の一部となっています。(D事務所でも対象となっていたり、E事務所でも対象から外れていたりするので、基準はよくわかりません・・・)

UN ICSCのデータから、対象となる事務所をまとめてみました。アフリカ・中東の地方事務所や難民キャンプなど、かなり生活環境が厳しそうな事務所が並んでいます。

長くなってしまったので、下記をクリックしてご確認ください。

  • アフガニスタン
    Bamyan
    Faizabad
    Gardez
    Herat
    Jalalabad
    Kabul
    Kandahar
    Khowst
    Kunduz
    Maymana (Faryab)
    Mazar-I-Sharif
    Pul-i-Kumri
  • カメルーン
    Bamenda
    Maroua
  • 中央アフリカ
    Bambari
    Bangassou
    Bangui
    Berberati
    Birao
    Bossangoa/Soumbe
    Bouar
    Bria
    Kaga-bandoro
    Ndele
    Obo
    Paoua
  • チャド
    Baga Sola
    Bol
  • DRC
    Aba
    Aru
    Baraka
    Beni
    Bili
    Faradje
    Kabalo
    Mboko
    Nyunzu
  • エチオピア
    Dollo Addo
    Fugnido
    Gambella
    Itang
    Mekele
    Melkadida
    Shire/Endaselassie
  • イラク
    Baghdad
    Kirkuk
    Mosul
  • ケニア
    Alinjugur
    Dadaab
  • リビア
    Benghazi
    Tripoli
  • マリ
    Gao
    Kidal
    Menaka 
    Mopti
    Tessalit
    Tombouctou
  • ニジェール
    Abala
    Diffa
    Ouallam
    Tahoua
    Tillabery
  • ナイジェリア
    Damaturu
    Maiduguri
  • パキスタン
    Peshawar
    Quetta
  • ソマリア
    Baidoa
    Belet Uen
    Boosaaso (Bender Cassim)
    Dhobley
    Dolow
    Galkacyo
    Garowe
    Jowhar
    Kisimaio
    Mogadiscio
  • 南スーダン
    Aweil
    Bentiu
    Bor
    Bunj (Maban)
    Gokmachar
    Jam-Jang
    Juba
    Kapoeta
    Kuajok
    Malakal
    Pibor
    Rumbek
    Torit
    Wau
    Yambio
    Yei
  • スーダン
    Abyei
    Ed Daein
    El Fasher
    El Geneina
    Golo (W. Darfur)
    Khor Abeche
    Nertiti
    Nyala
    Saraf Umra (Omra)
    Shangal Tobaye
    Tawilla (Tawilah)
    Zalingei
  • シリア
    Aleppo
    Damascus
    Daraa
    Deir-ez-Zor
    Homs
    Qamishli
    Sweida
    Tartous
  • イエメン
    Aden
    Hodeidah
    Ibb
    Sa’ada
    Sana’a
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一時金

毎月支給される額とは別に、着任時・離任時に支給される一時金があります。

Settling-in-Grant :約4,000~6,000ドル

着任時の一時金。Monthly Living Allowance の2ヵ月分弱くらいが支給されます。

Resettlement Allowance :2,400ドル

離任時の一時金として一律で支給されます。ただし満額支給は任期満了したときのみ。

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その他カバーされるもの

航空券費用

赴任・離任時の航空券費用が支給されます。離任時は任期満了したときのみ。

ホームビジット費用

A/Bクラスの事務所は2年に1度、C/D/Eクラスの事務所は1年に1度、帰国費用が支給されます。

まとめ :月額支給額は約2,000~4,000ドル 、一時金が約6,000~8,500ドル

まとめると、月額支給額は下記のようになります。

  • Danger pay指定事務所   → 3,000~4,000ドル
  • Danger pay指定事務所以外 → 2,000~3,000ドル

一時金はMonthly Living Allowanceの額で変動し、約7,000~9,000ドルです。

アフリカでセキュリティのしっかりした家に住もうとすると、1,000ドルなんてかかることはざらにあります。貯金はできなさそうですが、切り詰めればなんだか暮らしていけそうな気がしてきました。

さらに、自分の応募する事務所での待遇を具体的に知りたい場合は、UNVのサイトから、Volunteer Entitlement Caltulatorというツールを使って検索できます。

UVP - Unified Volunteer Platform

最後までご覧いただきありがとうございます!

もっと知りたいことなどあれば、ぜひコメントやお問い合わせフォームから教えてください。

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