2024年6月、赴任地の変更に伴い、アフリカで出会った愛猫むぎ(1歳7か月)を日本の実家へと連れ帰りました。
現地の自宅を昼の12時に出発し、次の日の夜11時に日本の自宅に到着。乗り換え2回。移動時間は28時間。
控えめにいって、とっても大変でした・・・ほんとうによく頑張りました、むぎもわたしも。
現地の獣医さんや日本の検疫担当の方のやさしさもあり、無事にむぎさんは日本の地を踏むことができました。
0.(事前準備)狂犬病の抗体検査を受けておく
犬や猫を指定地域「以外」から日本に持ち込む場合は、下記の書類が必要となります。
- マイクロチップの埋め込み
- 複数回の狂犬病予防注射および狂犬病抗体検査の結果証明書
- Form ACと呼ばれる、必要事項が記載された輸出国政府機関のスタンプと獣医師のサインがされた証明書
2024年7月現在、指定地域は6つのみ(アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム)。指定地域からの輸入の場合、マイクロチップの識別のみでオッケー。私が住んでいたアフリカ地域は問答無用で指定地域「以外」です。
狂犬病はマイクロチップの埋め込み後(ここ注意)、狂犬病予防注射を2回以上接種したあと、抗体検査を行い、抗体価が0.5IU/ml以上あることを証明できないといけません。
狂犬病の抗体検査を行えるラボは限られており、サブサハラアフリカの場合は南アフリカまで猫の血液を送り、検査してもらい、検査結果(証明書)を郵送してもらう必要があります。
この証明書をもらうまで、3か月くらいはかかりました。証明書は血液採取日から2年間有効なので、いつでも出られるように、一年前の2023年4月に済ませておきました。
(ちなみに血液を抜くためにむぎはふわふわの胸毛を無残に刈り取られました。。この部位じゃなきゃだめだったの・・・?)
また、Form ACという証明書のフォーマットが用意されていて、動物検疫所のホームページからダウンロードできます。必要な情報は下記で、獣医と現地政府(農業省)からサインをもらう必要があります。
(1)犬・猫の個体情報(生年月日または年齢を含む)
(2)マイクロチップの番号、埋め込み年月日 *マイクロチップがきちんと識別されるか現地の獣医で確認しておくのがいいです。
(3)狂犬病予防注射の接種年月日、有効免疫期間、 予防液の種類、製品名、製造会社名
(4)狂犬病抗体検査の採血年月日、抗体価、指定検査施設名
(5)輸出前検査(臨床検査)の結果、検査年月日
1.帰国日を決め、日本での輸入手続きを開始しておく
まずは帰国したい日を決めて、NACCS(動物検疫関連業務)のページからインターネットで事前届け出を提出します。この届出は入国日より40日以上前に提出しておくことが必要です。あとから日程や航空便を変えることもできるので、帰国が決まったら早めに提出するのが望ましいです。
届出が受理されたら、指定の動物検疫所の担当の方からメールで連絡が来ます。
私は福岡から入ったのですが、不備があって猫が拘留されるなんてことがないように、ACフォームの事前チェックや今後の流れなどについて詳しくメールで教えてくれました。本当に細やかでありがたいです・・・。
2.現地での輸出手続きをしておく
さて、日本への輸入手続きとともに現地からの輸出手続きも必要となります。
筆者の滞在していた国では、健康診断を行う獣医さんがワンストップで農業省からのExport permit(輸出のため出国時に必要)とAC form(輸入のため入国時に必要)の取得をやってくれました。Export permitは国によって違いますが私のいた国では1か月有効、AC formは10日間有効なので、獣医さんのもとに何度か足を運ぶ必要があります。
わたしはACフォームに不備があり(ワクチンの日付が全部間違ってた、猫の性別が女になってたなどなど・・・・)もう一度修正してもらうなどトラブルがありました。AC Formの下書きは自分で行うなど、先生と事前にみっちりと打ち合わせておくのが望ましいです。
3.航空会社に問い合わせの上、帰国便をとる
個人的にはここの手続きが一番苦労しました・・・
わたしはエチオピア航空のペット機内持ち込みで帰国しました。
航空券を購入する前に、予定している便にペットを載せられるかメールか電話で確認し、予約後に再度電話してペット情報を登録する必要があります。
仁川から福岡まではアシアナ航空の共同運航便だったので、エチオピア航空から、アシアナ航空には直接連絡してくださいといわれました。そのため、アシアナ航空のコールセンターに予約を予定している便と発着空港を示し、共同運航便のためエチオピア航空から直接問い合わせるように言われたことを伝え、ペット同乗ができることを確認して予約しました。
しかし、予約した後に再度電話でペット情報を登録しようとすると、「共同運航便はペット乗せられません」とまさかのどんでん返し・・・。事前に問い合わせたときはそのようなことを言われなかった旨伝えると、結局エチオピア航空で登録した情報が反映されるので大丈夫ということになりました。
混乱を避けるためにも、共同運航便は避けた方が無難だなあと思いました。(ペット同乗の料金も二重に払う必要がなくなるため、安くなります。韓国・仁川までエチオピア航空に150ドル、仁川から福岡までアシアナ航空に140ドル払いました。それでも安いですが・・・)
ちなみにエチオピア航空持ち込みのソフトケージサイズは厳しめで、寸法が55x40x20cm以下で、輸送容器を含めて8kgを超えないものとされています。ただなかなかそんなキャリーが見当たらないのです・・・
また、むぎは4.5キロの大型猫で、あまり小さいキャリーに20時間以上押し込めるのは生死にかかわるのではないかと思いました。いろいろ探して、サイズ制限ぎりぎりのこちらのバッグを買いました。
幅約49×奥行約21×高さ約31です。厳密には1センチオーバーしているのですが、ソフトケージなのでつぶせば20センチになります。空港では厳しくチェックされることはなく、縦にしたままで座席下にすっぽり入れることができました。ポケットにごはんやトイレ用品、ペットシーツなどいろいろ入れることができ、便利でした。
4.いよいよ出発
自宅~現地空港まで車で移動
さていよいよむぎさんと共に出発です。
事前にソフトケージに3~4時間入る練習をしていたので、ここまではまだ余裕そうなむぎさんです。わたしはスーツケース4つに手荷物(9キロ)、むぎケージ(合計5.5キロ)を抱え、腕と腰がすでに死にそうになっています。
空港で輸出書類や抗体検査の証明書を提出し、むぎ輸送の代金を払います。
現地空港での手荷物検査
現地空港では「いやなんで猫いるの~~~!預入しなきゃだめよ~~!」なんて言われつつ(職員さん、エチオピア航空で持ち込みできるのを知らなかったらしい)、どきどきしながらむぎをケージから出さずに手荷物検査を通らせてもらいました。普段手荷物をくまなくチェックされますが、猫連れだからか少しだけ優しくされました。ありがたや。
フライトまで少し時間があったので、人気がないところで出してちゅーるをあげました。トイレも用意しましたが、緊張しているのか全く出ませんでした。。。
むぎ初フライト(エコノミー)
ついにむぎの初フライトです。隣のお姉さんに猫がいることを伝えると、「いや全然わからなかった!!!」と言われました。それくらいおとなしくていい子でした。
しかし離着陸のときはやっぱり怖いのか、ちょっと大きな声で泣いていました。ごめんねむぎ・・・・怖い思いさせて・・・
特に着陸のときの衝撃が怖かったのか、かるくパニックになっていました。あとで確認するとペットシーツにお漏らしをしていました。
それ以降のフライトでは、床にむぎを直置きせず、足やジャケットなどを間に入れて衝撃を和らげてあげるようにしました。ごめんねむぎ。。
むぎが落ち着かなくなったとき、機内ではPet calming wipeという、猫を落ち着かせる成分の入ったワイプを使っていました。
あとはSpotifyでcat calming musicをひたすら流していました。効果がどれくらいあったかはわかりませんが、結構おとなしくしてくれていました。
1回目の乗り換え@エチオピア
4時間のフライトを終えて、エチオピアでトランジットです。エチオピアではケージからむぎをだして手荷物検査に進むように言われました。かなり混み合っていたのですが、係の人がケージをすぐに持ってきてくれて助かりました。
ちゅーるしか食べていなかったむぎさん、6時間ぶりにケージから出てお食事タイムです。知らない環境にかなりビビっており、トイレはやっぱりできず。ただウェットフードはきちんと食べてくれて安心しました。ここから恐怖の11時間半フライトですよ・・・!!!
2回目のフライト(ビジネス)
11時間フライトが怖すぎてこの区間だけビジネスクラスにアップグレードしました。
結果、本当にアップグレードしてよかったです。周りに人があまりいなかったのでエコノミーに比べると気苦労がすくなかったです。CAさんに断りの上、隣の座席にむぎのケージを置いてあげられました。2-3時間おきにちょっとぐずっていたので、そのたびにちゅーるをあげていました。それ以外はおとなしく、私もしっかり横になって休むことができました。
2回目の乗り換え@韓国
無事に11時間半フライトを終えたむぎさん。韓国の手荷物検査でもむぎを出して抱えて通ったのですが、職員さんにかわいがられました。
また誰もいないところでむぎを出してちゅーるをあげました。トイレはやっぱりでません。
ここからはあと1時間半!!がんばれむぎ(そしてわたし!!)
日本での輸入手続き
ようやく日本につきました。この時点でもう26時間経過。
検疫所の方はケージの上からマイクロチップをスキャンして、手早く入国の手続きをしてくれました。5分もかからなかったんじゃないかな。感動的でした。
(南アフリカの抗体検査をみて、「これは・・・・かなり珍しいですね・・・」と言われていました笑)
入国!
むぎさんがんばりました!!!
日本について美味しいご飯をたくさん食べて、ようやくトイレもできました。
あんなに嫌なこと沢山したのに、むぎは数日わたしにべったりでした。本当に人間の都合で怖い思いさせて申し訳ないですが、こんな長旅を耐え抜いたむぎさん、尊敬です・・・お疲れ様でした!!
ただ、飼い主はまた別の国に赴任してしまいます。むぎさんを連れていきたいのが本音なのですが、この苦労をまたさせるかと思うと・・・悩ましいところです。
正直、輸出入手続きなど、人間にかかる負担はそんなに重くなかったです。ただ長時間ケージに閉じ込めることが、猫にかなりの負担になっていると思います。
あーケージに入れずにねこさんと旅行できる日がくるといいのにな~。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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