国連の面接で特徴的なのが、CBI(Competency-Based Interview:コンピテンシー・ベースド・インタビュー)/Technical Interview (テクニカル/ナレッジ・ベースド・インタビュー)という形式。
慣れないうちはなかなか難しいものです。
まだまだ数少ない経験ですが、何度か国際機関のポストの面接を受けたことのある筆者がどのようにCBI/Technicalの準備をしているか、備忘録も兼ねてこちらの記事でまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。
コンピテンシー・テクニカル/ナレッジベースド面接とは?
コンピテンシー面接
候補者のコンピテンシー(行動特性)を確認するための面接をコンピテンシー面接といいます。
これは、「過去の行動がその人の将来の行動パターンを体現している」という前提の下に行われ、過去の具体的な経験を問われる面接スタイルです。
テクニカル/ナレッジベースドインタビュー
一方でテクニカル/ナレッジベースドインタビューとは、募集するポストに必要な具体的な経験や知識(ナレッジ)を問われます。
例えば、栄養分野/プロジェクトマネジメントのフィールドポストであれば、その機関が行っている栄養分野でのグローバルレベルでの取り組みや、フィールド事務所の取り組み、またプロジェクトマネジメントに関する具体的な経験について聞かれます。
そのため、コンピテンシーでも、テクニカルでも、過去の経験や成果についてしっかり語れるようになっておく必要があります。
共通対策
業務でやったことリストを更新しておく
わたしは業務をやっていく中で、「あ、これ成果のエピソードとして使えるな」と思ったことを、気が付いたときにメモしてストックしています。
何百ドルのプロジェクトを組成したとか、大臣レベルに働きかけを行ったとか、そういう経験があればそれは素晴らしいことなのですが、意外と大きな成果ではなくても、自分で考えて行動して結果を出したことがあれば、コンピテンシーのエピソードの素地として十分使えます。
そしてそういう経験は日々忙しくしていると結構忘れがちなので、気が付いたときに書き溜めておくことが重要です。
たとえば、カウンターパートとのミーティングで合意形成に持ち込んだとか、インターナルで複数部署に掛け合って物事を進めたとか、そういう些細なことを忘れないように、メモ程度でいいので書き出しておきます。この時点ではSTAR(Situation, Task, Action and Result)とかはあまり考えておりません。
必ずしも成功体験だけではなく、失敗した経験やそこからの学びなども結構ささるエピソードみたいです
CBI対策
1.ToRからコンピテンシーをピックアップする
さて、面接に進むとなった時に最重要となるのが、受けているポストのToR(Terms of Reference)です。
国連はどの機関であってもToRにそのポストが求めるコンピテンシーとそのレベルが記載されています。ToRに書いているコンピテンシーを必要に応じて検索して、自分が受けている機関の求めるコンピテンシーの説明に当てはまりそうな経験をメモから探してきます。
ToRの読み解き方についてはこちらの記事にまとめております。
2.やったことをSTARモデルでまとめる
メモの内容の中で言いたいエピソードが決まったら、STARモデルに当てはまるように内容を膨らませていきます。
私の場合はですが、Situation & Taskはいつもまとめて話すようにしています。STARの分量は、S&T:A:R=2:5:3くらいを目指します。S&Tはあくまで話し相手にコンテクストを理解してもらうための導入で、評価ポイントになるのはA&Rの部分です。コンピテンシー面接が「過去の行動パターン」に重きを置いていることからも、特にActionを長く語ることが重要だと思います。
Technical対策
お次はテクニカルの質問です。これは知らないとまったく無言になってしまう可能性がありますので、十分に準備しておかないといけません。
1.機関や部署の戦略をしっかり理解する
面接が決まってすぐにやるべきことは、受けている国連機関や部署/カントリーオフィスのことを勉強することです。
そのために、わたしは下記のようなものに目を通すようにしております。
- 受けている機関のヘッドのインタビュー(記事・動画)
- 受けている機関のグローバル戦略ペーパー
- 部署/専門分野/カントリーオフィスの戦略ペーパー
- 部署/カントリーオフィスのプロジェクトペーパー
- 部署/カントリーオフィスのEvaluation ペーパー
国連機関では、自分たちのことを全く知らない(来てから勉強を始める)ような人は即戦力がないとみなされてしまいます。
特に戦略ペーパーは受けている部署やカントリーオフィスのプログラムの基本となっているので、戦略ペーパーを読み込んで、なぜそれが重要なのか、自分の経験と絡めて語ることができると強いです。
また、その部署やカントリーオフィスの抱えている課題を知るためには、Evaluationペーパーを見ると早いです。課題と対応方針について明記があると思います。
2.ToRのDuties & Responsibilitiesに沿う経験をピックアップする
またしても最重要となるのはToRです。
ToRにはDuties & Responsibilitiesという欄と、Technical competenciesという欄があるかと思います。(機関によってはTechnical competenciesはないかもしれません)。
業務でやったことリストから、あてはまりそうな経験をピックアップしておきます。テクニカルに対する答えは、必ずしもSTARモデルではなくて大丈夫です。
CBI・ナレッジ/テクニカル面接はしっかり準備しよう
国連機関の面接は手ごわそうに見えますが、聞かれる内容はToRに基づくものですので、想像してあらかじめ準備ができます。問われるのは自分の経験なので、しっかりと自分のやったことについて整理さえしておけば、思ったより怖くない面接なのだろうと思います。
とはいいつつ、私は面接はすっかり緊張してしまうので、言いたいことがすらすらといえるように、何度も録画して練習するようにしています。また、ポストイットにキーワードを書き出してパソコンの周りに貼っておき、万が一頭が真っ白になった場合に備えて面接に挑んでおります。
それでもやっぱり緊張しますし、本番が終わった後に「あれもいえばよかった」「これも言えばよかった」と思ってしまうのですが・・・
この記事を読んだみなさまの面接準備に少しでもお役に立てれば幸いです。
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